Natural History of Periodontal Disease in Man: Rapid, Moderate and No Loss of Attachment in Sri Lankan Laborers 14 to 46 Years of Age.H Loe, A Anerud, H Boysen, E Morrison. J Clin Periodontol 13:431-45, 1986
1970年から1985年の15年間(検査した年は1970年、1971年、1973年、1977年、1982年、1985年)、お口の中の歯周病がどのように変化していくのかをスリランカにおいて調査された報告です。
対象はスリランカの茶畑で働く480人の男性労働者で、年齢は14~46歳となっていました。この対象者たちは歯を磨くという習慣はなく、この地域では歯科医師は不在で、歯科治療を受けない環境になっていました。つまり、一切の予防も治療もない状態で歯周病はどのように推移していくのかを追跡調査したものです。彼らは、歯周治療に対する知識はなく、歯磨きはしていない状況で、当然お口の中は歯垢や歯石が多く観察されました。
それにも拘らず大きく歯周病の進行した対象者は少ない結果となりました。81%の大半の対象者たちは、歯周病はゆっくりと進行していました。全く進行していない対象者は11%認められました。そして残りの8%の対象者たちは、非常に急速に歯周病が進行し、20歳代で歯が抜け始めて、歯周病の進行は止まることなく、40歳代で全ての歯牙が喪失した対象者もいました。この調査から同じような口腔内の環境でも、歯周病の進行は個人差があるということが明らかにされました。
A Long-term Survey of Tooth Loss in 600 Treated Periodontal Patients.L Hirschfeld, B Wasserman. J Periodontol 49: 225-37,1978
治療とメインテナンスを行なった歯周病患者(600人)の歯の喪失について平均20~22年間、長い人は50年間にわたり予後を観察した調査がアメリカで行われました。この結果もスリランカスタディーとほぼ同様な傾向を示していました。80%が罹患していると言われる歯周病は個々として決して同じではなく、実に様々な病態があり人によって大きな差があることがわかります。