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理事長所信表明

理事長 高井 康博

「国民の皆様に寄り添う学会であり続けるために」

理事長 高井 康博

2021年4月1日より本会理事長を拝命いたしました高井康博です。本学会は初代会長の故川崎仁先生らが、アメリカ歯周病学会に見習い、素晴らしい臨床家の集う学会を日本にも、との強い思いで1983年に「臨床歯周病談話会」として創設されました。その後、「日本臨床歯周病学会」と名を変え、2006年には「特定非営利活動法人(NPO法人)日本臨床歯周病学会」として生まれ変わり、2021年3月現在5000名に近い会員を抱える学会へと成長してまいりました。本学会の理事長に就任することは、身に余る光栄であるとともに、その責任の重大さに身が引き締まる思いであります。この度の理事長就任に伴い、組織の若返りを図り、今まで以上にフレキシブルで活発な議論の交せる、より一層活力に満ちた組織を目指します。そして、本学会が、「国民の皆様に寄り添う学会であり続けるために」すべきことを明確にし、邁進する所存ですので、皆様のご協力を賜りますようお願い申し上げます。

「社会の変化に適応したシステムの構築」

2019年末に発生したコロナの世界的蔓延により、今まで先人が築き上げてきた社会のシステムが、大きく変化を遂げようとしています。まさに何十年に一度のパラダイムシフトが起こっており、我々の学会も、それに対応すべく多岐にわたるシステムの変更を余儀なくされております。年次大会や支部教育研修会は、従来のような現地での開催が困難となり、webでのライブ配信やオンデマンド配信へとシフトしております。このような変化は一概にデメリットばかりではなく、今まで気づくことのなかった新たなメリットの発見もあり、コロナの終息如何にかかわらず継続すべき事案もあります。今後は、多種多様な社会の変化に対応でき得る、デジタルも活用した学会の組織・システムを構築したいと考えています。

「外部への情報発信」

本会は、創設依頼、歯周病に対する啓蒙活動を推進してまいりました。しかしながら、歯を失う原因の第一位は、相変わらず歯周病という憂慮すべきデータが存在します。8020推進財団によると、歯周病で歯を失う割合は2005年に42 パーセント、2018年でも37.1パーセントと多少の減少は認められますが、まだまだ我々が目標としている数値にはほど遠く、外部に対する情報発信が、まだまだ不足しているのではと懸念しております。今後、国民へ向けての情報発信により一層、力を注ぐべく、従来の媒体に加え新たにソーシャルネットワークシステム等を活用した情報発信を積極的に行う計画です。

「スペシャリストの育成」

本学会には、歯周・インプラント・歯科衛生士にそれぞれ認定医・指導医制度があり、多くのスペシャリストを輩出しております。2021年3月には、本会初の指導歯科衛生士が誕生しました。それに伴い、各支部のCEC事業をさらに活性化させ、有望な人材の育成を推進します。

また、日本歯科専門医機構の提唱するインプラント専門医を取得可能な学会として承認されるよう、組織改革を進めてまいります。今後も、これらの資格を有する会員の増加を図り、国民の利益に貢献できることを目指します。

「学術調査」

現在、学術調査として「歯周病実態調査」ならびに「脱タバコプロジェクト」そして、日本初の歯周組織再生剤として認可されたリグロス®の臨床研究を進めております。これらの調査・研究を継続し、将来の歯周病の診断・治療・予防に寄与できるよう努めてまいります。また、インプラント周囲炎の予防や治療法についても、学会として言及できるよう努めます。

「他学会との連携」

現在のコロナ禍においても、日本歯周病学会はもちろんのこと、引き続きアメリカ歯周病学会、台湾歯周病学会との連携をweb等の活用により継続し、国際社会においても本学会の存在感を示していく所存です。2022年のアリゾナ・フェニックスで開催されるアメリカ歯周病学会は、本会主導による日本歯周病学会との共催を予定しており、本会会員が活躍できる多くの機会を設けたいと考えております。

その他、まだまだ改革が必要な事案があります。我々は時代のパラダイムシフトに対応するだけでなく、自らが変化を厭わない、進んで変化をしていく組織を目指します。最後になりましたが、2022年7月末に本学会40周年記念大会が、パシフィコ横浜で開催される予定です。その際には、大会が盛大に開催されることを願いつつ、今後早期にコロナが終息に向かい、平穏な日常が取り戻されることを祈念し私の挨拶とさせていただきます。

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