国際交流委員会副委員長 清水宏康
2016年9月10日より13日までアメリカ西海岸に位置するサンディエゴにて第102回アメリカ歯周病学会(AAP)年次大会が開催された。サンディエゴは、古くから軍港として栄えた都市で日本から近いアメリカ西海岸に位置するため、今回は日本臨床歯周病学会(JACP)、日本歯周病学会(JSP)との共同開催となった。特に今大会は本会にとっては、初めての共同開催パートナーとなった記念すべき大会である。日本からは両学会合わせて350名近くの会員が参加した。
まず10日(土)午前にAAP公式開会に先立ち、本会と台湾歯周病学会(TAP)主催の第5回Pan Pacific Session(PPS)が開催された。今回は“Implant Therapy for Periodontally Compromised Patients” (歯周病患者へのインプラント治療)という統一テーマのもと、本会からは梅村匠先生(関東支部)、岩田光弘先生(中国四国支部)が登壇され、いずれも素晴らしい講演をされた。他にJSPは青木章先生(東京医科歯科医大学)、TAP2名、また今回からは韓国も加わり、Korean Society of Periodontistを代表しDr. Byun-Do Hamが講演された。セッション最後はAAPよりDr. Hom-Lay Wang (Michigan大学)がしめくくり、立ち見もでる大盛況となった本セッションは幕を閉じた。今回は過去5回のセッションの中でも、内容、運営とも最も充実したセッションとなり、AAP側からも高い評価を受けることができた。
大会初日は組織/器官再生工学の現在と未来のビジョンを示したGeneral session から始まり、AAPならではのPeriodontal Regeneration, Hard and Soft tissue graft, Implant therapyに至る広範囲な講演内容に多くの聴衆が聞き入っていた。AAPからの演者の中で、本会からは二階堂雅彦理事長、瀧野裕行先生(関西支部)がCEで、船越栄治先生(九州支部)、石川知弘先生(関東支部)がFCEで、築山鉄平先生(九州支部)清水宏康(関東支部)がInnovation in Periodonticsで、日本のペリオの実力を示す充実した講演をされ、大会を大いに盛り上げていた。
また大会中にはJSP/JACPポスターセッションが行われた。本会会員になじみの深いCase Presentation部門では30例、またDH部門では11例のエントリーがあり、大会中のポスター掲載と12日(月)には審査委員を前にしてプレゼンテーションが行われた。各部門、最優秀賞1名、優秀賞2名に表彰と賞金が授与される。この結果は11月頃に発表の予定である。
AAPの楽しみは勉強だけではなく、さまざまなソーシャル・イベントが開催された。講演後のInternational reception、Welcome reception では、他国からの参加者との国際交流が活発に行われた。本会主催のイベントとしては、ペリオ・サムライ・ナイトが11日(日)にJSP、モリタ共催で開催された。このパーティではモリタのご厚意によりレストランが貸し切られ、日本人参加者同士、またAAPからのゲストも交え楽しい懇親が図られ、単なる学術の習得の場を超えた大変充実した共同開催年次大会として無事終会となった。
なお会期中行われたAAPとの会議で2018年バンクーバー大会での共同開催が決定した。次回は本会が主導で行われる共同開催となり、その意味でもより多くの会員の参加を願ってやまない。