去る2月25日の日曜日、平成29年度日本臨床歯周病学会 中部支部研修会が愛知学院楠本キャンパスにて盛大に行われました。
今年はメインテーマを『歯周治療を中心に捉えた包括歯周治療~炎症と力のコントロールを成功させるために~』と題して、今後の歯周治療における方向性を含め、臨床に即した大変有意義な内容であった。
午前の部はまず会員発表が行われ、鈴木謙司先生(浜松市開業)は「広汎性重度慢性歯周炎に対して再生療法と矯正治療にて対応した症例」というテーマで、エビデンスに基づき全額的に再生療法と矯正治療を行い、長期的に安定が得られる歯周・咬合状態を構築されたケースを発表された。歯科衛生士の風野弥栄さん(小野寺歯科勤務)は、「歯周外科治療から見えてきた課題」というテーマで、患者の全身状態から口腔内局所に至るまで十分に診査診断を加えていたのが印象的であった。ご自身の反省点もふまえ、初診から歯周外科、その後のメインテナンスに至るまで一連の流れと考察を詳細に発表されていた。また、歯科衛生士の石倉亜紀さん(なかの歯科勤務)は「慢性歯周炎患者にインプラントを含めた包括的治療を行った症例」というテーマで、再生療法・インプラント等包括的な治療が必要な患者に対して、バナペリオなどの客観的検査とともに、質の高い歯周治療を行うための医院の工夫やシステムを紹介していただいた。
その後、教育講演として東京都江戸川区ご開業の梅村匠先生より、「歯周病の治療管理をベースにしたチーム医療の実践」というテーマで、梅村先生ご自身の開業から今日までのスタッフマネージメントや、医院理念に基づくスタッフチームワークの構築などについてわかりやすく解説していただいた。また、同医院勤務の歯科衛生士・小宮さんからも、症例を通して、医院理念に基づき実践され、どうしたら長期的にメインテナンスの来ていただけるかを具体的にお話していただいた。
午後からは、中部支部支部長 村上卓先生(小牧市開業)より、『歯周治療を中心に捉えた包括歯科治療』-力のコントロールを考えて‐と題して、治療結果の永続性の重要な要素である力のコントロールについて、様々な治療法と、口腔内に存在する加圧要素を挙げ、症例を通してその対策を示された。
そして最後に特別講演として佐分利清信先生(名古屋市開業)より、歯周病を中心とした包括歯科治療について、歯周外科を中心に高度なレベルの症例を供覧させていただいた。
今回の研修会では歯周治療ついて、医院のマネージメントから高度な治療まで、歯科医師・衛生士ともに多くを学べる有意義な機会であった。