令和2年9月13日10時から、東北大学星陵キャンパス内星陵オーディトリアムで、日本臨床歯周病学会第27回東北支部教育研修会が65名の参加者のもと開催されました。元々は3月に開催予定だった支部研修会であり新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となっていましたが、この9月に状況が少し落ち着いたため開催いたしました。参加者の体温測定や受付・会場内での感染対策に留意し、参加者にできる限り安全を配慮した運営としました。
午前中は2名による会員発表があり、はじめに福島県開業の丹治栄展先生は「2壁性および3壁性垂直性骨欠損への再生療法の応用」という演題で発表しました。歯周治療の永続性をもった治療効果を得るためには「浅い歯肉溝」「骨の平坦化」「十分な付着歯肉」の3要素の獲得を必要とし、症例では垂直性骨欠損部に歯周組織再生療法を適用して「骨の平坦化」を特に配慮することで良好な結果が得られたと発表しました。
次に宮城県開業の齋藤太紀先生は「垂直性骨吸収を伴う広汎型慢性歯周炎に対して咬合再構成を行なった一症例」という演題で発表しました。歯周病は多因子疾患であり、治療する上で細菌感染による炎症を減少させることに加え、咬合性外傷に対して対応することが重要であるとお話されました。歯周基本治療後、垂直性骨吸収に再生療法を行い、顎機能に調和した補綴治療を施行し、良好な結果が得られたと発表しました。
お二人とも本学会年次大会に発表できる位の素晴らしい内容でありました。
会員発表の次に関西支部開業の瀧野裕行先生より「今、求められる医院力と歯周組織再生A to Z」の演題で特別講演をして頂きました。近年多くの研究によって歯周病のメカニズムが解明され、歯周組織の再生治療も飛躍的進歩し、以前では保存が困難であった歯牙が保存されるようになってきました。午前中の講演では、知識や技術の向上だけでなくチーム医療にもとづいた医院力が不可欠で、歯科医師と歯科衛生士からなるチーム力が歯周治療における再生療法の成功に大きく関係するという内容でお話を頂きました。午後の講演では、歯周再生療法 の文献を提示して頂き、FGF-2(リグロス)を中心に再生療法の多様な可能性について解説頂きました、インプラント治療においては、GBRによる骨再生やCTG、FGGなどによる歯肉再生の治療オプションを含めてお話を頂きました。動画を取り入れたわかりやすいプレゼンテーションで、そしてユーモアのある先生の講演は、参加した会員の医院力アップ、また臨床のヒントに繋がる大変有益な講演でありました。
(文責:東北支部広報担当 柏﨑 潤)